伝道開始 1904年(明治37)の伝統的なプロテスタントのキリストの教会です。
日本基督教団半田教会
TEL:0569-21-3761

4月29日 感話要旨(西館) 女性Sさん

昨年末、母が天に召された。18歳で親元を出て、半田から離れていた時期も長かったが、56歳になろうとする人生の中で、ここまで母が生きてくれたことに改めて感謝している。まきばに移ってからの2年は、次第に病気が進行し、寝たきりとなり、経管栄養に頼った生活を1年あまり続けた。入退院を繰り返し、そのたびに家族が呼ばれて今後の治療をどうするかを医師から問われた。治療についてそれぞれが意見を述べ合えたことが、ある了解につながっていったことを思う。最晩年は眠りが深く、海の底から記憶が浮かんできて少し応答するとまた沈んでゆくような時を過ごした。母は家族のことより、教会の人のことを話しかけている時が一番応答があった。それほどに母の気持ちはいつも皆とともにあった。最後の連絡を受けて病院に向かう道すがらも暖かな感謝の気持ちにつつまれていた。母はどっしり構えた肝っ玉母さんであったが、最後はエネルギーを燃やし尽くして枯れ枝のようにこの世の務めを安らかに終えたと思う。葬儀、記念会で多くの方が、明るくて世話好きで愚痴を言わない母の人となりについて語ってくださった。しかし、母の幼少期から青年期にかけては真逆で、多感な年頃に過酷な戦時下体験と継母から家庭内暴力に等しい扱いを受けている。母は三人姉妹の長女だったので妹たちを励ましながら生きていたという。叔母たちは骨髄までその時代の恐怖を引きずっていた。そのあたりを母に聞いたところ、あの人には辛い思いもさせられたが、キリストに出会わせてくれた一点において赦せるといつも言っていた。ここに母の信仰があった。神様の愛が真実であることを母の生き方から教えられたことが本当に感謝である。赦すこと、平和を作り出す人になることを日常で実現することは難しいが、母から受けたこととして大切にしてゆきたい。(文 よ)